敬語は人間関係の武器
社会は大勢の人々で成り立っており、年齢差、立場の違いなど、 距離感や上下関係が存在します。
こうした人間関係を円滑にするためには、敬語はとても大切な武器となります。
最近は、若い人に限らず敬語の乱れが指摘されています。
そのなかで適切な敬語表現を使いこなせれば、 必ずやあなたにも「敬意」が返ってくるでしょう。
敬語には3種類ある
文法の復習のようですが、敬語には「尊敬語」「謙譲語」「ていねい語」の3種類があります。
ていねい語は「行きます、帰ります」など、「です・ます」で終わる言い方で、 よりていねいになると「ございます」も使います。
問題になるのは、尊敬語と謙譲語です。
尊敬語が「いらっしゃる、お帰りになる」など、相手を直接高める表現であるのに対して、 謙譲語は「うかがう、失礼する」なと、あえて自分を低める(謙虚に譲る)言い方によって、 相手への敬意を間接的に示すものです。
よく使うビジネス10大動詞
ヒジネスでは日常よく使う基本動詞があります。
最も頻出する10動詞を下表にまとめてみましたので、特に尊敬語と謙譲語でどのように 変わるかに留意しつつ、暗唱してみてください。
基本語 | ていねい語 | 尊敬語 | 謙譲語 |
---|---|---|---|
する | します | なさる
される |
いたす
させていただく |
いる | います | いらっしゃる | おる
おります |
言う | 言います | おっしゃる
言われる |
申す
申し上げる |
聞く | 聞きます | お聞きになる
聞かれる |
うかがう
承る |
見る | 見ます | ご覧になる
見られる |
拝見する |
知る | 知っています | ご存知
お知りになる |
存じております |
会う | 会います | お会いになる
会われる |
お目にかかる |
行く | 行きます | いらっしゃる
行かれる |
うかがう
まいる |
来る | 来ます | お見えになる
お越しになる |
まいる |
帰る | 帰ります | お帰りになる | 失礼する
おいとまする |
間違えやすい敬語の使い方
尊敬語はあくまで相手に対するものですから、自分に使っては本末転倒。
「(とてもおいしく)召し上がりました」ではなく、「いただきました」です。
同様に謙譲語を相手に使うことは失礼にあたります。「あなたが申し上げる」ではなく「おっしゃる」です。
また、二重敬語といって、欲張りな敬語表現も間違いです。
「お帰りになられる」は、「お帰りになる」か「帰られる」かのどちらかでOKです。
過剰な敬語はかえってイヤミに受け取られかねません。
「お」と「ご」の乱用も気をつけなければいけません。
相手の持ち物(お荷物、お洋服)や身体(お身体、お元気)、あるいは相手から受けた行為(ご好意)や
物事(ご連絡)などには使えますが、自分に関連するものはNGです。
また、「お」ファックスと聞いたら笑ってしまうはずです。
こうした外来語や、「お」カラス、「お」サクラなどの動植物、「お」道路や「お」公園などの
公共物にもつけません。
ただ、おビールやお猿さん、お花などすでに慣用化してしまった例外があります。
これらも「お」をつけなくてもかまわないので、耳なれた表現以外には
先にのべた原則で使わない方がよいでしょう。
間違いやすい敬語の使い方
自分に対して尊敬語を使ってしまう
×私がそんなことをなさるはずはございません
→「なさる」は「する」の尊敬語
×お客様が私にお会いになりたいとおっしゃっています
→「私に会いたい」ので尊敬語は不適切
相手に対して謙譲語を使ってしまう
×受付でうかがってください→受付でお聞きになってください
→「うががう」は「聞く」の謙譲語
×どなたにお目にかかりたいのですか→どなたに会われたいのですか
→「お目にかかる」は「会う」の謙譲語
二重敬語
×お客様はお帰りになられました→お客様はお帰りになりました
×社長がご覧になられるそうです→社長がご覧になるそうです
「お」や「ご」をつけない場合
外来語:ファックス、コピーなど
目然現象:雨、風、雪、地震など
公共物:道路、公園、学校、図書館など
動物・植物:カラス、サクラなど
自分の持ち物や身体、行為、物事もNG